杉原千畝 情報に賭けた外交官 (新潮文庫:単行本「諜報の天才 杉原千畝」から改題)

またしても間が空いてしまったので、今回は手抜きで。

某所に書き込んでおいたブログをほぼそのまま持ってきました。

インテリジェンスオフィサーとしての杉原については何もコメントしてませんでしたね^^;



【タイトル】杉原千畝 情報に賭けた外交官

      (単行本「諜報の天才 杉原千畝」から改題)

【 作者 】白石仁章

【 出版社 】新潮文庫

【ページ数】328p

【あらすじ】

「命のヴィザ」を大量に発給した杉原千畝。

なぜ彼は政府の命令を無視してまで大量の通過ヴィザを発給できたのか?

なぜ彼が運命の地、リトアニアの「カウナス」へ派遣されたのか?


【コメント】

ユダヤ難民に日本通過の許可を示すヴィザを発給し続けた、杉原千畝。

リトアニアのカウナスで発給したヴィザの枚数は2,139枚。

1枚のヴィザで家族数人分のこともあれば、一人一人に 発行されたケースもあったようだ。

(未成年者は保護者のヴィザに追記する方法だったようです)

ただし、この2,139という数字は正式な記録として残された数字である。

実際には記録されていない人が相当数、いるのではないか?

この正式な記録上は7月26日から始まり、8月26日で終わっているという。

単純計算で1日70枚少々、8時間労働で切り上げたとして1時間に10枚弱となる。

(土日込みだが現実には一日も休まなかったのではなかろうか)

無論、ヴィザ発給以外の公務もあったはずではあるが・・・

一方、リトアニアがソ連に併合され、領事館をソ連に閉鎖された8月28日以降も ホテルや駅で、

9月4日まではヴィザを発給し続けたとの証言もあるそうだ。

また、ヴィザ発給を少しでも増やすために日付以外のほとんどをスタンプ化していた。

さらに、このあと杉原千畝はドイツに併合されたチェコスロバキア(当時)のプラハへ異動、

(記録上は)わずかながらも彼の地においてもユダヤ人へ日本通過ヴィザを発給している。

さすがにナチスドイツのお膝元ではあまり大々的には発給できなかったとは思うが、

外務省本体でも問題視されつつもこの時点ではお咎めなしだった様子からも、

記録に残していない発給分があるように思えてならない。

ちなみに、杉原千畝の卓越した情報収集能力は本人の能力・努力もさることながら、

こうしたヒューマニズムがあってこその結果であったように思う。

外交官としての情報収集は他者からの信頼があってこそのものであるから。



1900年 杉原千畝 誕生

1919年 外務省留学生に合格、任命される(おそらく直後にロシア語留学のため満州へ派遣された)

1924年 外務書記生に任命される、白系ロシア人クラウディアと結婚、ハルビン勤務を命ぜられる

1927年 調書 「ソヴィエト」連邦国民経済大観 をまとめる(600ページ超!)

    この調書は外務省内でも評判となり、出版し省内へ配布されたとのこと。

1932年 満州国外交部特派員公署事務官に任命される

1933年 北満鉄道譲渡交渉第1回(ソ連⇒満州へ)

1935年 北満鉄道譲渡に関する協定調印

     (千畝の情報収集・分析力および交渉力によって満州側に有利な条件で成立)

     満州国外交部を依願免官⇒日本外務省へ復職

     (1932年の日本外務省から満州外交部への異動の際、いつでも戻れることを条件として受けていた模様)

     クラウディアと協議離婚成立

1936年 菊池幸子と結婚、二等通訳官として在ソ連大使館への赴任命令

1937年 ソ連より入国を拒否される⇒解決ならず。在フィンランド公使館へ赴任

1939年 副領事としてリトアニアへ領事館開設を命じられる。開設後、領事代理に就任。

1940年 7/18 領事館をユダヤ避難民が囲む、外務省へヴィザ発給許可について問い合わせ

     7/26 ヴィザ発給を開始

     8/28 領事館閉鎖

     8/29 総領事代理としてプラハ勤務を命じられる

     9/5? カウナスを出発。列車が動き始めるまで車内でサインを続ける

1941年 総領事代理としてケーニヒスベルク勤務を命じられる

     帰国を願い出る

     公使館一等通訳官としてブカレスト(ルーマニア)勤務を命じられる。


「ソヴィエト」連邦国民経済大観、北満鉄道譲渡交渉の二つだけをとっても、

千畝の情報収集能力・分析能力が桁違いに高いものであったといえる。


ニコッとタウン 892808島 ユーザ名:ラムセス2世 ブログ投稿:2016/02/01 02:43:59

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