アルジャーノンに花束を(ダニエル・キイス 早川書房)
「ついしん。どーかついでがあったら」
もうかれこれ20年にもなるのか。
阪神淡路大震災の年、とある雑誌を読んでいて本書のタイトルを知った。
(だったと思うが・・・)
この世に生まれて初めて、本を読んで涙を流す、という経験をした。
それまでの30年近い年月を、「感動」とはほぼ無縁で過ごしていた。
TVを見ても映画を見ても本を読んでも人の話を聞いても、
全くと言ってよいほど、感動などしたことがなかった。
何となく目頭が熱くなることはあったけど、
(感動して)涙をこぼしたことはただの一度もなかった。
そんな無感動な自分が迂闊にも、ぼろぼろっ・・・と涙をこぼしてしまったのが
本書である。
もっとも、本書の場合はいわゆる「感動」によってではなく、
おそらくは「悲しさ」を感じての涙だったと思う。
おそらく、大体誰しもが同じようなところで涙をこぼしているのではなかろうか。
冒頭に掲げた、「ついしん。どーか・・・」の後だ。
訳者:小尾芙佐
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